ペニス無し人体模型

理科室の悪魔



 第二部



 三十二

 磯崎は理科準備室の奥のガラス戸棚から腿から上の部分の人体模型を取り出してきて準備室のテーブルの上に置く。それは美津子もよく知っている股間部分には性器が付いていない、ある意味では不自然な男性の人体模型だった。
 「ここのこの部分はこうやって取り外せるんです。ほらっ。」
 そう言って人体模型の股間部分の何も付いていないさらっとした股間の部品を取り外すと、今度は鍵の掛かった別の戸棚から部品を取り出してきてそれを人体模型の股間に取り付けるのだった。

ペニス生え人体模型

 「ほらっ、どうですか? 結構リアルでしょ?」
 訊かれて美津子は(ええ、そうですね)と答えそうになって慌ててその言葉も呑み込む。しかしその人体模型に生えているペニスは人体模型本体よりも色も質感も本物そっくりに作られているように美津子には感じられた。
 「あ、あの・・・。この模型は、日本人男性の平均的なサイズで作られているんでしょうか?」
 美津子はいかにもこの模型を見た女子生徒が質問しそうなことを装って質問してみる。
 「前島先生はどう思われます? 大き過ぎますか? それともちょっと小さい・・・? あ、失礼。別に先生を試してみようと思った訳ではないんです。日本人の平均的サイズってよく文献なんかには12cmから13cmとかって書かれていますけれど、あれって結構いい加減な情報らしいですよ。これはそういう平均値って呼ばれているものより大きめに作られていますけどね。あっ、先生。今、貴方自身はこれより大きいの? 小さいの?って思いましたよね・・・。」
 「い、いえっ・・・。そんなことは・・・。」
 「ははは。冗談ですよ。私のがこれより大きいか小さいかは秘密です。でも男子生徒等にはこの模型は実際の平均値よりはわざと大きめに作られているって説明しています。形状がより理解しやすくなる為にですってね。でもそう言っておかないと、生徒等の中には自分のペニスについて劣等感を持ってしまう男子生徒が現れてしまうからなんですよ。」
 「そ、そうなんですね・・・。でも、大き目の模型のほうが現実を目にした時に衝撃を和らげる効果があるかもしれませんね。」
 「そういうことも考慮して作ってあるようですよ。だからこの模型を男子生徒にしろ女子生徒にしろ、見せる際には本当のサイズはとても個人差が大きいのだと付け加えるのを忘れないようにしなければなりません。」
 「そ、そうですよね。」
 「これは一番大きく勃起した時の模型ですが、この他にも勃起していない時の模型や違う形に反り返っている模型もあります。ま、それらはあまり使うことはありませんけどね。ただこれらの模型はあまり数が出ない部品なので非常に高価なものになります。それと本来とは違う目的に使われることがないように普段生徒等の目には触れないように、そして勝手に持ち出すことが出来ないように厳重に鍵を掛けた戸棚の中に保管してあるんです。鍵は私が管理しています。」
 「ああ、そうなのですね。で、私に今度の性教育授業の際にこれを貸して頂けるということでしょうか?」
 「ええ、それは勿論です。」
 「あ、あの・・・。実は、前回の性教育の際に包茎についてもいろいろ説明されていまして・・・。」
 「はあ、包茎ですか。それは男子生徒の性教育でもよく話題になる質問です。女生徒の授業で話題になるというのは意外ですが・・・。」
 「自分のパートナーとなる男性が包茎だった場合にどうすればいいのか戸惑うようで・・・。」
 「なるほど。それももっともですね。ああ、包茎についてもいい模型がありますよ。」
 そう言って磯崎は戸棚の奥から何やら部品を取り出して持って来る。



mitsuko

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