調教5

妄想小説

恥辱秘書






第七章 美紀の調教


 三

 毎日の日課として課せられた儀式だったので、次第にバケツからこぼすこともなく上手く、それも芳賀が廻ってくるいいタイミングに放尿できるように慣れていった。しかし、逆にそれは自分の羞恥心を次第に麻痺させてしまうのを美紀は怖れた。人前で立ったまま放尿することを何とも思わないようなはしたない人間に成り下がってしまうのではないかという恐怖もあった。美紀は何としても自分の中に高潔さとプライドを喪ってしまいたくはなかった。卑劣な芳賀の前に屈してしまうことは何としても避けなければならないと自分に言い聞かせていた。

 しかし、芳賀は更なる新しい手を考えて、美紀を屈服させることを企んでいたのだ。その日はこの儀式に慣らされ始めてまだ一週間もたたない5日目にやってきた。
 美紀は、その日も午前中トイレに行きたいのを我慢して、昼下がりの事務所が静まりかえる頃、男子トイレのあるひっそりとした廊下にやってきた。
 誰も居ないことを十分に確かめた上で、男子トイレに忍び込み、いつものように目隠しを着けてから後ろ手に手を伸ばし、手錠を慣れた手つきで自分の手首に嵌めた。ここまでは段々上手くなって、手際よく出来るようになっていた。
 暫くして、芳賀がやって来た気配が掃除用具室の扉が開いた時の風で感じられた。芳賀の手がいつものように美紀の顎をしゃくりあげる。いつまでたっても、それはおぞましい瞬間だった。
 いつもと違っていたのは、その後だった。いきなり美紀の突き出された股間を芳賀の掌が鷲掴みで包み込むように捉えた。そこをいきなりそんな風に刺激されるのは初めてだった。
 美紀は慌てた。その日はいつもよりも尿意は強かったからだ。
 芳賀の掌は、はじめはゆっくり、そして次第に手の動きは細かく早くなっていった。股間に集中してその部分を揉みしだいてゆくのだった。
 (あうっ、は、早くして・・・。)そう声が出そうになるのを美紀はかろうじて堪えた。美紀のこめかみにうっすら汗が滲む。

 しかし、事はその後、美紀の思うようには運ばなかったのだ。執拗な愛撫を股間に与えた後、芳賀は美紀の身体から身を引いた。そして暫く美紀の姿態を眺めていたようだったが、そのまますっと姿を消してしまったのだった。

 それが何を意味するかは、美紀もすぐに悟った。芳賀は美紀に着衣をつけたまま、失禁させようと企んでいるのだ。放尿しやすいように、尿意を我慢してやって来ていることに、芳賀は既に気づいていたようだった。
 美紀は自分の運命を呪った。あとどれだけ我慢出来るだろうか。その前に芳賀がやってきて呉れるのだろうか。そして戒めを解いてくれるのだろうか。・・・いや、そんなことをしてくれる筈がない。芳賀の見ている前で、バケツを押し当て(目の前でしてみろ)と命じてくるのだろうか。それならまだしも、我慢出来なくなって、パンティを濡らして足許に水溜りを作ってしまってから現れるつもりなのだろうか。芳賀がやってくる前に、誰か他の人間がもしやってきてしまって、掃除用具室の扉の下から流れだした水溜りに気づいてしまったら、・・・。
 次々に美紀の脳裏を翳める不吉な想いに、美紀は思わず蒼ざめる。しかしその間にもじわりじわりと尿意は強くなっていくのが分かった。

 次第に募り来る尿意に、脚と脚をすり合わせるようにして脂汗を垂らしながら洩れそうになるのを何とか堪えている美紀だったが、やがて限界を迎えることは認めざるを得なかった。ふと、その時、その小部屋のどこかにある筈のバケツを手繰り寄せ、なんとか小水を床に撒き散らすことだけは避けられないかと思いついた。いつもこの小部屋に入る時に、バケツは奥の隅に置いてあったのは何となく覚えていた。手錠が手首にがっしり食い込んでいて、後ろ手に蛇口にくくりつけられた不自由な格好では、バケツを手繰り寄せるのも至難の業だった。しかも不用意に脚を開くと、括約筋が緩んで洩れてしまいそうだった。
 それでもなんとか片足に体重をかけ、少しづつ注意深くもう片方の足を部屋の隅に伸ばしていった。カランという音が、バケツがそこにあることを美紀に教えてくれた。
 バケツらしいものの中につま先を突っ込み、ゆっくり手繰り寄せる。気はせいているのだが、慌ててはバケツを転がしてしまいそうである。
 やっとのことで、何とか自分の足許までバケツを手繰り寄せたものの、そこから先はどうすることも出来ない。下着を下ろすことが出来ないのだ。このままではパンツを濡らし、雫が伝って、足先から床へ流れていってしまう。足許のバケツの中にうまく放尿するには、どうしてもパンティを脱がなければ無理だろう。しかし、手錠に繋がれた手は、どうやってもパンティの端は掴むことは出来ても、下まで引き摺り下ろすことが出来ない。
 仕方なく、美紀はパンツは穿いたままバケツの中に洩らす為に、靴を脱いで、裸足になってバケツに両脚を入れてしまうことにした。これなら小水を撒き散らすことはしなくて済むかもしれない。きっと下半身は洩らしたものでパンティからスカートまでびしょ濡れになってしまうだろう。しかし、足許に水溜りをつくって、掃除用具室から垂れ流してしまうよりは幾らかましだと美紀は思った。

 急いで、つま先で片方ずつパンプスを外して裸足になる。ストッキングは元々身に着けるのを芳賀に禁じられて、生脚だ。パンティを穿いたまま徐々に洩らせば、うまく濡れたパンティから雫が滴り内股を伝って足許のバケツへ流れてくれるかもしれない。しかし、我慢の限界を迎えた尿意のままで、ほとばしり出さずに徐々におしっこが出来るかは自信がなかった。それでもやるしかない。そう思って、美紀は後ろ手の繋がれた両手を蛇口をしっかり掴んで力をいれた。

 その時気づいたのである。美紀が縛られているのは、バケツやモップを洗うための大きな洗水盤の前だったということを。脚の裏側を当ててみると、ひんやり冷たい陶器のつるんとした感触がある。蛇口に縛られたままでもそのまま、脚も持ち上げてうまく洗水盤の中へ自分の身を収めることが出来れば、小水はうまく排水口のほうへ流せるかもしれないことにやっと気づいたのだ。

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