エッセイ
チアリーダーのミニスカートの本質は何なのか
四
ここで前章で述べたことを示す一枚の写真がある。
これはアメリカ人ではないが、同じ戦争時代をアメリカ同様鼓舞し続けた欧州の銀幕スター、ブリジッドバルドーの煽情的な画像だ。股下ぎりぎりまでを露出する煽情的な画像ではあるのだが、ブリジッドバルドーの写真としてはさほど刺激的なものではない。何故なら一般的なブリジッドバルドーのセクシーな画像と言えば、腰骨までを露わにした水着やレオタード姿が一般的であったからで、スカートを穿いて下穿きのぎりぎりまでを露出したからと言って初めてみる刺激的な姿からすればむしろ物足りないぐらいのものだからだ。同じことが同世代のアメリカの女優、マリリンモンローなどについても言える。日本では地下鉄の通気口から吹き上げる風でスカートが大きく捲れあがるシーンが有名であるが、そのシーン以前にモンローは脚の付け根までを大きく露出する水着や下着、またはレオタードと言ったコスチュームでアメリカ人男性を悩殺してきていたのだった。つまりアメリカ人はスカートの下に穿いているものはもう既に十分過ぎるほど見慣れた格好であり、ことさらスカートから覗いて見えたとしてそれまで見知っている水着や下着の姿以上に煽情的ではなかったと言えるだろう。つまりスカートの下から見えるものに対して充分な免疫が備わっていたのだろう。
スカートの下から見える下着は、本来は水着や下着だけの姿の下半身の姿以上に煽情的なものではない筈だ。だから欧米人はスカートが捲れて見える下着にはある程度の免疫が出来ているのだろう。しかし水着姿や下着姿をピンナップ写真を見慣れている欧米人ほどには見慣れていない日本人男性にはミニスカートが捲れてちらっと見える下着は全く別のものとして映ったとしても不思議はない。
蛇足かもしれないが、第一次世界大戦から第二次世界大戦へ至る時代には日本にも陸海軍があって、国として若い男性兵士を戦地に送り込んでいた。しかし日本においては欧米とは違って若い女性の露わな姿を使って戦士を鼓舞するようなことは行われなかった。もし若い男性兵士が女の裸に近い姿の写真を隠し持っていたとしたら、上官から鉄拳制裁を受けたことだろう。
戦後の高校野球や中高生の運動部活動においては、戦前の兵隊教育に似た規律が強く求められていて、女の脚にうつつを抜かしている選手などとんでもないとされていた筈だ。だからここ近年の短いスカートのチアリーダーたちは観客の為のものであって、選手の為のものではない。
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