腰骨弄り

良子
 - 警察手帳を奪われた女巡査





第五章 本物の女警官

 三

 良子は感じまいと必死で堪えているが、身体のほうが勝手に反応してしまっていた。手錠を嵌められた手では、男の手を振り払うには十分な力が入らない。男の指を押しのけようとするのに、却って男の指に自分の指を絡めてしまうことになり、よけい男を刺激してしまっていた。
 「どうだ。そろそろ濡れてきたんじゃないのかい。」
 男が良子の不安を見透かしたかのように、耳元でそう囁く。
 (ま、まさか・・・。)
 そんな事はある筈がないと思いたいのだが、良子には自信がなかった。
 (もし、あそこに指を当てられて調べられたりしたら・・・)そう思うだけで、尚更身体の中心がかあーっと熱くなってくるような気がしてくる。
 「図星のようだな。あそこが触られたくて疼いているんだろう。」
 「い、いやっ。そんな事・・・、ありません。」
 「ふふふ。そうかな。パンツの裏側、湿ってきてるんじゃないのか。調べてみようか。」
 「や、やめてっ。触らないでっ。」
 今度は男は良子の制服のスカートを少しずつ上に手繰りはじめた。
 「あ、駄目っ・・・。」
 しかし、良子の願いも虚しく、男の指先が持ち上げられた裾に到達してしまうと、そのまま上にずり上げられてしまう。良子は下着を丸出しにさせられているのかもしれないと思うが、自分では確かめようもない。男の指がストッキングの上から太腿を蹂躙していた。
 「こいつは邪魔だな。」
 そう言うと男は爪を立ててストッキングの端をつまみあげた。ビリッという音がしてストッキングが太腿のところで引き千切られたようだった。
 ビリッ、ビリッ。なんども音がして、何箇所も散々引き千切られ孔だらけにされてから、ストッキングを膝の上まで引き下げられてしまう。更には生脚にされた太腿の内側を人差し指と中指の二本で膝のあたりからじわりじわりとなぞり上げてくるのだった。
 「いやっ。ああっ・・・。」
 両側から二本ずつの指で内腿を付け根ぎりぎりまでなぞり上げられたところで、すっと手が引く。その度に陰唇を触られるという予感に身体の奥が反応して疼いてしまうのだった。 
 「こんな事をされて感じてしまうのは、やっぱり女警官ってったって一匹のメスって事だな。どうだ。気持ち、いいだろ。」
 「き、気持ち・・・、よくなんか、ありませんっ。」
 そう啖呵を切ったつもりの良子だったが、身体が反応してしまっていないか自信がなかった。
 「じゃ、確かめてやるか。」
 男の二本の指先が両側からじわりじわりと脚の付け根へ向けて這うように近づいてくる。
 (だ、駄目っ・・・)
 良子は声にならない叫び声を胸の奥で叫ぶ。
 「あっ・・・。」
 陰唇部を下着の外側から触られた感触につい声を洩らしてしまう。
 男の指が下着の端にもぐりこんでくるのを感じる。
 「や、やめてっ。」
 しかし男の指は容赦なかった。良子の陰毛を掻き分けるようにして陰唇を探ってくる。
 ピチャッ。
 良子は一番聞きたくなかった音を聞いた気がした。男がふっと息を洩らした。男にも聞こえたに違いなかった。
 ピチャ。ピチャ。
 男の指の動きに合わせて、自分の大事な部分が卑猥な音を立てていた。
 「やめてっ。お願い・・・。」
 「やっぱり濡らしてるじゃないか。えっ、ここは・・・。どうなってんだい。」
 「ゆ、赦してっ・・・。」
 男の指が一瞬、良子の股間から離れた。しかしそれは良子の願いを聞き入れて呉れた訳ではなかった。今度はいきなり下着の上から手の平で包み込むように股間を掴まれる。良子が腰を引いて逃れようとするが、もう片方の手が良子の尻をしっかり捉えて逃れさせない。良子は股間を下着の上からゆっくり揉みしだかれていく。
 「あうっ・・・。だ、駄目ええええ・・・。」
 男の手が突然外される。
 良子は荒い息を吐いていた。その耳元に男が囁く。
 「そんなに気持ち良かったか。・・・。どれだけ下着を汚したか、今、調べてやる。」
 「い、嫌っ。そんな事っ・・・。」
 しかし良子の思いとは裏腹に、男の手は腰骨のところからパンティの両側を掴んでどんどん引き下げていってしまう。目隠しをされている良子には自分がどんな格好にされているのかは見えないが想像は出来た。男が太腿の途中まで下されたパンティの裏側をひっくり返して検分しているのは間違いなかった。
 その時、少し遠くのほうからオルゴールの音が聞こえてきた。聞き覚えのあるメロディだった。
 (あれは、蛍の光・・・?)
 「ちえっ。もう時間かあ。まあ、結構楽しめたから続きは次回にするか。それじゃあ、この汚したパンツは記念に貰っていくぜ。」
 そう言うと、男は良子の下着をびりびりに破かれたストッキングごと片足ずつ外し始めた。良子はもがいて逃れようとするが、後ろ手に拘束された身では、尻もちをついて倒れ込まないように何とか立っているのがやっとだった。
 ドアが開いた音がして、アイマスクの端に光が洩れてきたのを感じた。
 「お客さん。お時間です。」
 「もうそんな時間か。延長したいが、通常の十倍だからな。今日はもう持ち合わせが無いんで今度にするぜ。でもなかなか楽しかったぜ。やっぱり本物はいい。」
 「お気に行って頂けて、何よりです。またのご利用をお待ちしておりますので。」

 良子は客と呼ばれた男が出て行って暫くするまで、手錠を掛けられアイマスクで目を塞がれたままの格好で待たされていた。
 やがて男二人に肩をつかまれた。
 「今回はこれで終わりだ。もう帰してやるが、また連絡するからちゃんと指示に従って出頭するんだぜ。」
 男はまるで良子が犯罪者であるかのような言い方をするのだった。

 良子は来た時と同じ様にエレベータに載せられ、やってきた車に押し込まれるようにして連れ出された。目には見えないが、掛かった時間から最初に待合せた公園まで連れてこられたのは気配で判った。
 両方の腕を取られて公園の中らしき所を暫く歩かされる。
 「さてと、鍵は返してやるから手錠は自分で外すんだ。しかし、その前にやって貰うことがある。穿いているスカートを自分で脱ぐんだ。手錠を嵌めたままでもそれくらいは出来るだろう。」
 「で、でも・・・。」
 パンティとストッキングは客に奪われてしまっているので、スカートの下には何も穿いていない。
 「俺たちが安全にここから姿を消すまでの間、鍵探しで時間を稼がせて貰わないとならないのでね。誰かに助けを求めたり出来ないようにしたいのさ。大丈夫さ。スカートはどこかその辺に落としておいてやるから。それとも自分で脱ぐのがいやなら、俺たちがずたずたに切り裂いてやったっていいんだぜ。」
 「ま、待って。わかったわ。脱ぐから・・・。」
 スカートは横のホックを外してジッパーを引き下げさえすれば、手錠を掛けられたままでも脱ぐことは可能だった。良子は男達の命令に素直に従うことにした。
 ジッパーを下げたスカートは、ちょっと身体をくねらせるとスポッと腰から外れて落ちた。それを男たちが乱暴に奪い取る。目隠しをされていて観る事は出来ないが、自分のさせられている格好は想像がつく。誰にも見られたくない姿の筈だった。
 「さ、こいつを咥えるんだ。」
 良子の唇に何か金属片のようなものが押し当てられる。手錠の鍵だろうことは想像に難くなかった。良子は口を薄く開いてそれを歯で受け止める。
 「目隠しされたままで後ろ手で捜すんだ。わかるだろっ。落した場所をしっかり覚えておかないと、朝まで探すことになるかもしれないからな。裸の尻を丸出しで、朝の散歩に来るジジイたちに見られたくはないだろ。」
 「ムムムム・・・。」
 鍵を取り落とさないようにするのに、良子は声も挙げられなかった。男達のいうとおりだった。下手に鍵を取り落としてしまうと、手探りで捜すのは相当難しそうだった。良子は慎重に脚を屈めて腰を落とす。その時、突然の激痛が良子の裸の尻の中心を襲った。
 「ぎゃあっ。」
 良子が腰を屈めて無防備に裸の尻を晒した瞬間に、男の誰かが後ろから指浣腸で良子の菊の座を突いたのだった。気づいた時には歯で挟んでいた筈の鍵を取り落としてしまっていた。しかもあまりのショックに頭を動かしてしまって、鍵はどちらの方向に飛んでいったか判らなくなってしまったのだ。
 「それじゃあ、あばよ。女警官さん。ゆっくり捜しなよ。」
 男たちがそう言いながら悠然と立ち去っていくのを茫然としながら見送るしかない良子だった。

 良子は冷静にならねばと自戒していた。やみくもに目隠しのまま手探りで鍵を探し始めても、元居た場所からどんどん離れていってしまう危険性もあった。鍵は振り飛ばしてしまったが今居る所から2mは離れていない筈だと見当をつけた。良子は履いてきたハイヒールを脱いで裸足になると、自分が立っていた場所にハイヒールを置いて目印にすることにした。片足でこのハイヒールに触りながら脚を伸ばして足元の草叢を探っていくことにしたのだった。大きく股を広げた無様な格好だったが、それを気にしている余裕はなかったのだ。漸く、良子の指が金属片を探り当てたのは捜しはじめてからとうに一時間は経っていたのだった。


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