ミニ跨ぎ

自転車乗り





  二

 三ノ宮公園は駅からすぐ目の前にあった。ぐるりを歩道が取り巻いていてそのすぐ外側を3車線の広い国道が走っている。歩道に沿って、公園を廻っていくと、周囲3キロくらいあり、5分程度で一周できる。
 まだ、朝の通勤時間が終わっていなくて、人通りは少なくない。良子は行き交う人を巧みに避けながら、歩道を走って行く。擦れ違う男達の視線が必ずと言っていいほど、良子の股間に釘付けになった。ペダルを漕ぐ一瞬は白い三角形のパンティが露らわになっているに違いなかった。
 女たちの視線も、きまって軽蔑のまなざしで、良子には辛かった。
(わたしだって、好きでこんな格好を晒らしているのではないのよ。)
 良子はそう言ってやりたかった。

 公園の中央をよぎっている広い道路の前に来た時に、無常にも信号が青から黄色に変わった。良子は慌てて、渡り切ってしまおうと急いだ。しかし、前を歩いている中年男性がよろよろ良子の行く手を塞いだ為に、ブレーキを掛けざるを得なくなった。その瞬間に信号は黄色から赤に変わる。
 仕方なく、良子は自転車を止める。爪先を思いきり伸ばして、やっと片脚を届かせた。反対の脚はぴっちり内側に寄せることで、なんとかパンティが丸見えになるのを防ぐことが出来た。しかし、伸び切ったほうの脚は後ろから見れば、股の付け根まで丸出しになっていた。
 すぐ横で信号を待っている男が、露骨に良子の胸元を覗き込んでいた。良子が、にらみ返すと男はそっと顔を背けた。反対側の男が今度は、靴紐を直す振りをして、良子のすぐそばにしゃがみこんだ。下から覗かれたら、隠す術はない。今度も良子は、きっと睨みつけたが、その男は全くひるまなかった。遠慮会釈なく、良子の股間の一点を凝視しつづけている。
 (早く信号が変わってほしい。)
 良子はそう願いつづけたが、いっこうに信号は変わらず、目の前を車の列が次々に通り過ぎていく。次第に、良子の伸び切った脚も痺れてきた。脚を踏み替えたかったが、そうすれば、その一瞬はパンティが丸見えになる。しかもへたをすれば、スカートがずり上がってしまうおそれもあった。ひざがガクガク震えてきた。
 (ううっ、もう我慢出来ないわ。)
 良子がたまらず、脚を組み替えようとしたとき、やっと信号が変わった。
 逸早く、良子はペダルを踏み出した。その一瞬、横から手が伸びてきて、ワンピースの上から半分剥きだしになっている良子の乳房をわしずかみにされた。
 (きゃっ、、、。)
 思わず声をたてそうになるのを、やっとの思いでこらえた。痴漢だと声を挙げたところで、注目を自分に集めるだけである。ペダルを目一杯踏みつけて、男の手を振り切った。が、その痴漢にワンピースを思いっきり引っぱられた為に、スカートの部分がおおきく上にはだけてしまっていた。もはや脚を閉じようとしても、白い三角形に剥き出しになったショーツは丸見えのままである。前を行く誰もが、良子の股間をじろじろ遠慮無く眺めている。
 良子は悔しさに唇を噛みながら、男等の前を通りすぎ、人垣がとぎれた所まで来て、サドルを降りて、その前のパイプにまたがって自転車を止めた。
 手が自由であれば、裾を下に引っぱることが出来るのだが、サドルに縛り付けられた両手ではどうにもならなかった。腰をくねるようにしてスカートをずり下げるしか手はなかった。それもへたに動くと余計にずり上がってしまうのだった。
 良子は走り出した時の要領で、サドルにお尻を擦り付けるようにしながらサドルに腰を掛けることで、やっとのことでスカートを元に戻すことに成功した。

  次へ   先頭へ



リンク

  • トップへ戻る
  • 自転車乗り

    ページのトップへ戻る