スケート   テニスウェア

エッセイ


私のヰタセクスアリス 3


 森鷗外のヰタセクスアリスを読み終えて、その後自分自身が森鷗外の作品自体を読む前におそらくはこういうものだったろうと思えるような手記として書いたものを読み返してみて、やはりそれも違うなと今は思っている。いや、違うなではなく、物足りなく感じているのだ。
 私が嘗て思っていたヰタセクスアリスは、性に目覚め始めた頃、まだ正確には性の何たるかを知らなかった若かりし当時に思い憧れていたものという漠然とした定義があったように思う。性行為について完全には知り得ていない幼年期にもオナニーはしていた。その際に夢想の中に現れる女性こそがヰタセクスアリスなのではないかと思ったのだ。

 私自身が書いた私自身のヰタセクスアリスに引用されている百科事典の中の、テニスウェアの記事とアイススケートの記事に使われている挿絵画像は将に私自身の定義でのヰタセクスアリスだったと言える。当時、幼児の着るスカートではなく、セックスの対象となり得る大人の女性の膝から上の太腿は、この二つのもの以外では、観る事を許されているものではなかったからだ。従って、スポーツ観戦と呼ばれるジャンルの中でもアイススケートとテニスの公式試合の観戦は、勿論テレビを通じてのみではあるが、当時私の大好きな番組だった。

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 アイススケートで言うと、1973年札幌オリンピックの銅メダリスト、ジャネットリンが名前としては有名だが、アイススケートの公式試合を好んで観戦していたのはもっとずっと前の事だった気がする。名前として憶えているのはデニスビールマンで、頭の中には白黒テレビ時代に初めて見た気がする。いまとなっては殆どの女子スケーターが演技の中で用いるビールマンスピンだが、当時は世界でこれが出来るのはデニスビールマン唯一人だったのだ。ビールマン以外にも名も知らぬ外国の美人スケーターが惜しげもなく太腿を晒しているのを、そこばかりに着目して観ていることを悟られぬようにじっと見つめていたものだった。

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 テニスプレーヤーで言えば、トレーシー・オースティンとクリス・エバートが挙げられるが、この選手等が活躍していたのは自分的には思春期を過ぎてからの事で、実際にはその前にやはり名も知れぬ白人女性プレーヤーの短いスコートをずっと追っていた筈だ。
 スポーツ観戦と言えば、女子フィギュアスケートと女子プロテニスブレーヤーばかりを見ていたとなると短いスカートばかりに着目して観ていたと言われそうで、それを補うものとしてまだ日本人には殆ど注目されていなかったアメリカンフットボールの中継をかなり前から熱心に観ていた。米国駐留軍の兵士向けに放映されていたと思われる白黒でナレーターは英語のものだった。しかしこの番組も男臭いぶつかりあいの熱戦だけが目当てだった訳ではなく、時折映像に入ってくるはちきれんばかりの太腿を露わにしている応援のチアガールが目当てだったことも否定は出来ない。股下ぎりぎりまでしかない短いスコートと呼ばれるミニスカートで捲れ上るのも厭わず応援に熱中している姿を見るのもアメフトの試合観戦の大きな目的だったのは事実だ。今では日本でも高校野球の応援などでごく普通にこういったチアガールの姿を見れるようになったが、60年代から70年代の頃はこんな姿の女子を見れるのはアメフトの試合ぐらいしかなかったのだ。

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 人物として私のヰタセクスアリスに挙げられる最初の女性としては、おそらくアンジェラ・カートライトではないかと思える。アンジェラはまだテレビが白黒だった時代に放映されていた輸入盤空想ドラマ、宇宙家族ロビンソンの娘役として演じていた。その愛くるしい姿を見るだけの為にこの宇宙家族ロビンソンというドラマを毎週観ていた気がする。その後、世界的に有名になったミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」に端役で出演するのだが、映画が封切りになった頃は観ていなくて、始めて観たのは高校生になってからだったが、久々に観るアンジェラに心を奪われたのは間違いない。
 小学校高学年から中学生に掛けての頃には、好きだという感情を持つ女性と、性を感じるという女性の二種類があることは判ってくる。ここまで挙げてきたジャネット・リンからアンジェラ・カートライトまでは好きというジャンルに入る。勿論、思い浮かべているだけで性的な興奮も感じオナニーの対象となったりもするのだが、好きという感情は湧きおこってこないのに、性的には興奮を感じる女性というのが存在するのを意識するようになったということだ。

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 その代表格の一人がアン・マーグレットだったように思う。多分当時映画スターとしての仕事が主だった筈だが、歌手としてもデビューしていたようだ。アン・マーグレットの楽曲は聞いたこともなかったし、映画も観た事はなかった。その存在を知ったのは、テレビや映画で有名なタレントの写真を売り出していたプロマイドと呼ばれるものの雑誌等の広告写真でだった。一際目を惹くだけでなく、性的な興奮を憶えさせる、当時の私にとっては不思議な存在だった。世の中でもセクシー・ダイナマイトという異名で有名だったようで、彼女の姿に性的興奮を憶えていたのは私だけではなかったようだ。こういうプロマイドを欲しいとまでは思わなかったし、当時の自分がそういうものを買い求めているのを見つかったりしたら咎められたりしていた筈だ。しかし雑誌の端に垣間見るだけで興奮していたのも事実ではある。
 この手のセクシーアイドルに、テレビドラマ「ハニーにおまかせ」というお色気番組で主人公ハニー・ウェストを演じていたアン・フランシスが居る。

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 人物が好きという感情は全く生まれて来ないのだが、その立ち振る舞いから感じられるエロティックな演技に魅せられて、毎週欠かさず観ていた覚えがある。更にはこの手の外人女優にはブリジッドバルドーやナンシーシナトラが居ると思うが、私が思春期前後だった頃には知らずに後年になって知った女優だった。

 日本人女性で最初に好きになったタレントは小山ルミだった。日本人とはいってもハーフで、ここまでこの手記に登場する女性は殆ど西洋系の外人ばかりで、如何に西洋文化に憧れを持っていたかが窺い知れるが、日本人の初もハーフであるのも同じ系統を汲むからなのだろう。
 初めてその存在を知ったのは、中学生の頃、大橋巨船が司会をして有名となった音楽番組「ビートポップス」での踊り子としてだろう。当時大流行していたミニスカート姿で檀上に上り、下から舐めるように映すテレビカメラの前で愛くるしい表情と共に、魅力的は太腿を露わにしていた。

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 男性週刊誌は高校生の頃から密かに買い求めるようになるのだが、その極初期の頃、掲載されていた一枚のモノクログラビアに小山ルミの大好きな写真があってずっと大事にクリアファイルに保存していたものがある。タートルネックのセーターにミニスカートで膝を立てて座ってポーズしているもので、スカートの裾からわずかに下着らしきものがちょっとだけ覗いて見えているものだ。おそらく結婚前の頃に処分してしまったと思われる。ネット社会になって昔の画像を検索で捜せるようになってから、いろいろ検索を駆使して殆ど同じ衣装で同じ様なポーズを取っている昔の白黒写真を見つけたら篠山紀信が撮っているものだった。その時の一連の撮影されたもののうちの一枚だったのだろう。

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 女優の中で一番最初に虜になったのは、五十嵐淳子(当時じゅん)だった。最初に知ったのは、テレビドラマの端役で4人姉妹ぐらいの三女か四女ぐらいの役だった。しかしその時から顔の美しさは際だっていた。そのドラマは色々検索を使って調べているが、それらしい物は挙がってこない。おそらく何等かの事情でネット上から削除されているのだろう。五十嵐じゅんのグラビア写真も男性週刊誌から採った大好きな一枚があった。ヨットハーバーで黄色いTシャツにオレンジ色のホットパンツ姿でポーズしているもので、若々しさにはちきれんばかりの肢体を見せつけていた。この写真もおそらくは結婚前に処分され、二度と目にする事はないものの一つだ。

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風吹ジュン

 日本人タレントの中にも、好きにはならないが性的な魅力の虜になった女性は居る。それが麻丘めぐみと風吹ジュンだ。どちらも女性アイドルタレントの走りと言えるだろう。その中でも最も性的な魅力を感じたアイドルタレントだったと言える。
 麻丘めぐみの写真も密かにずっと保存していたものがあった。それは若い女性用に売り出されていたパンティストッキングの包装に使われていた写真で、衣装はいわゆるブルセラの制服、それも極めて短いスカートのものだった。勿論パンティストッキングの包装なので、それと判るように薄い紺色のもので太腿が蔽われていたのだが、それでも充分にエロチックだった。麻丘めぐみ自体にはそれほど惹かれなかったのが不思議なのだが、その包装紙に使われていた写真だけは大事にしてずっと持っていた。
 同じ様に好きになれないが性的魅力を感じて写真をずっと保存していたアイドルタレントに風吹ジュンがいる。おそらくは男性用週刊誌のグラビアの一枚だった筈だが、こちらは古いレコードジャケットの中に仕舞われていたおかげで結婚を契機にいろんな写真類を処分した中から洩れて後になって偶然見つかった写真の一つだ。同じようにレコードジャケットから出てきた写真にエマニュエル夫人のシルビア・クリステルの籐椅子に座って脚を組んでいくもの、浅田美代子の極若い時のグラビア、中森明菜の極初期の写真などがあった。
 風吹ジュンはいまでこそ好きな女優の一人だが、若かったアイドル歌手をしていた頃の彼女は何故か好きになれなかった。ヤンキー風なスケ番みたいな感じが嫌だったのかもしれないが、性的魅力は間違いなく感じていた。この手の性的魅力を感じる女性は私の場合は概してミニスカートから太腿を惜しげもなく晒している女性が多いのだが、不思議と風吹ジュンの場合は水着姿は記憶にあるもののミニスカ姿はあまり記憶にない。

水沢アキ

 ヰタセクスアリス的女優を最後に挙げるとすれば水沢アキということになるだろう。というのもこの女優を気に入っていたのは自分の思春期としてはほぼ終末期にあたるだろうと思えるからだ。
 水沢アキもかなり気に入っていたピンナップを持っていた。かなり大きなもので、さすがに等身大ではないものの、それに近い大きさがあった。おそらく男性用写真誌GOROに付属していたピンナップポスターのようなものではなかったかと思う。水沢アキも自分が恋したい女優ではないが、性的にはとてもエモーションを感じる女優だった。そのピンナップはいわゆるスリークウォーターと称する太腿から上ぐらいの真正面を向いた水着姿のピンナップで大学生の途中ぐらいまで大事に所有していたと思う。いけない事とは思いながらも、その水着姿の水沢アキの唇に、勃起した自分のペニスをぎりぎりの距離まで近づけた記憶がある。もし好きだったら絶対に出来なかった行為だろうと思われる。つまり汚してもいいと思える存在だったのだろう。思春期というのは、汚したくない存在と、汚してもいい存在というのが明確に分かれて存在したいた様に思う。

ベッツイクリス4 ベッツイクリス2

 思春期に密かに夢中になっていたタレントに、当時ハワイから学生の身分でやってきてフォークデュオをやっていたベッツイ&クリスがいる。気に入っていたのはクリスの方だった。考えてみるとこれも西洋系外人だ。今になって顔をよく見返してみると、決して自分が好きなタイプとは違うような気がする。どちらかと言えば今見返せば、ベッツイの方が好みかもしれない。しかし何故か当時は世間が圧倒的にベッツイ支持だったのに対し、密かにクリスの方に恋焦がれていた。ベッツイの方が嬌態を演じているようにみえたのかもしれないし、クリスの方がより知性的に見えたからなのかもしれない。しかし今考え直してみると、顔が好きだったのではなく、ミニスカートから惜しげもなく露出していた太腿に惹かれていたのかもしれない。そう考えるとベッツイのほうが肉体的には貧弱で、クリスのほうがよりむっちりして男心を誘った気がする。もしかすると私が恋焦がれていたのは、クリスの太腿だったのかもしれない。

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