麻衣子

若妻 麻衣子





   二

 男はゆっくりと近づいてきた。灰色の作業服のようなものを着た中年を過ぎたような男だった。麻衣子がもっとも嫌いなタイプの男と言っても良かった。街でこのような男の脂ぎった飢えたような視線で自分の脚などを注視されるのがなによりも嫌だった。
 しかし、今はその様な男に、スカートの奥までも晒したままで思う存分覗かれている。そして、そこから避けようにも為すすべもない。

 男の視線は遠慮会釈はなかった。ただ、ひたすらに脚の間の一点を注視している。そこは既に麻衣子の思うようにはならない状態になっている。麻衣子の思いとは裏腹に、恥ずかしいものを滴らせてしまっている。そして、それを隠すこともままならない。

 「どうして、そんな格好しているんですか。」
 麻衣子には答えられなかった。そして大声を出して誰かの助けを呼ぶことも出来ない。それこそ恥の上塗りになってしまう。
 「あ、あのう。み、見ないでください、 、 、 。」
 下を俯いて小声でそっとそう言うのがやっとだった。下を向いてしまった麻衣子だったが、それでも男の視線が自分の下半身にじっと注がれたままなのが、見なくても感じられる。
 意を決して、麻衣子は懇願するように男に言った。
 「あの、縄を解いてください。縄を解いてほしいんです。」
 「えっ、縛られているんですか。」
 男は更に興味をそそられた風であった。麻衣子は自分の窮状を男に教えてしまったようなものだった。そして、それは男に自分に近づいてくる口実さえ与えてしまったのだ。

 男は、麻衣子のそばににじり寄ってきた。男の目の真下に隠しきれない麻衣子のあらわな下着が覗いている。それを見ながら、男はゆっくり麻衣子の背後に廻る。
 「誰に縛られたんです。強盗にでもあったのかな。」
 麻衣子は(夫に。)とは言えなかった。変態趣味の夫婦ですと言っているようなものである。(今日はじめて、こんなことしたんです。)と言っても信じては貰えないだろう。

 「お願いです。解いてくださいませか。」
 麻衣子は懇願するような目で男を見上げる。が、その請うような目に、男の喉がごくっと鳴ったような気が、麻衣子には感じられた。
 男の手が麻衣子の胸元に近づいてくる。自分からほどいてと頼んでいるので、身体に触るなとは言えない。麻衣子は下を向いて、恥ずかしさに堪えようとする。
 男の手が胸元の麻衣子の胸のまわりにきつく回りついている縄にかかった。縄のきつさを調べているようであり、それに乗じて麻衣子の身体を触っているようにも思える。男の指が縄に沿って両側から次第に後ろにまわってゆく。男の手が麻衣子の背中に達したときに、男の荒い息が麻衣子の顔にかかるのを感じた。男は抱きつくようにして、麻衣子の縄の具合を調べているのである。
 「随分、きつく縛ってあるなあ。」
 麻衣子の耳元で男がそう囁いた。

 男は一所懸命、縄を解こうとしているように見えなくもない。が縄は一向に緩まず、麻衣子の正面から両手を背後に回して、男の首筋は、顔をそむけている麻衣子のすぐ横にある。
 男の荒い息遣いを耳の後に感じる。
 男は次第に身体を麻衣子に密着させてきた。縛られた縄からはちきれそうになっている豊かな麻衣子の胸に男の身体がしっかり押し付けられる。

 突然、背中で麻衣子の縛られた指先を男の手が掴んだ。麻衣子の柔らかい指の感覚を楽しむかの様だった。
 「あ、あの、やめてください。」
 かろうじてそういうのがやっとだった。
 が、男の指は執拗だった。そして、更に、麻衣子の指をいじりまわしていた片方の手が、麻衣子の指から離れて、ゆっくりスカートの上から麻衣子の尻を撫でてゆき、腰骨のあたりを通って、さらにスカートが大きくずり上がってしまっている太腿の上にまで達した。

 麻衣子の全身に戦慄が走った。
 動こうとする麻衣子を、男は背中に回した片方の手で麻衣子の両手をしっかり掴んで、身動きを封じている。男のもう一方の手は、更に麻衣子の両の太腿の間に達し、手の平で麻衣子の両側の太腿を撫でるようにしながら、腿の間に中指を割り込ませてきた。

 「だ、駄目。やめてください。」
 麻衣子はきっぱり言ったつもりだった。が、声は泣き入りそうになってしまっていた。

 男の指は、じっくりと嘗めまわすように麻衣子の腿を這いながら、ひたすらその付け根に向かっていた。麻衣子の頭を強い電流が走るような気がした。
 その直後に、その神経を一番集中させている部分に暖かいものが漏れたような気がした。麻衣子にはそれが気のせいではないことがわかっていた。
 慌てて、麻衣子は自由でない身体を揺すって、逃れようとした。

 が男の手はしっかりと麻衣子の身体を抑えていた。
 「声を出すわよ。」
 麻衣子は言い放った。が、そんなことは出来ないことはよく判っていた。
 「大声が出せるのかい。こんな格好で。 、 、 、 。他の人にもこんな格好を見てもらいたいって訳か、ええっ。」
 太腿に当てていた手を一旦麻衣子の顎に持って行き、しゃくりあげるようにして、麻衣子をなじった。上向かされた麻衣子の目は潤んでいた。

 「お願い、もうやめてっ。」
 麻衣子は涙ながらにそう頼みこむのだった。しかし、男の答えは非情なものだった。
 「そんなに助けを呼びたきゃ、手伝ってやるぜ。この窓を大きく開け放って、大声で誰か来てくれって頼んで、助けにきた全員に、どんな格好にされているか、ようく見て貰おうか。ええっ、どうだ。それとも、俺の言うことを聞いて、それから解いて貰うかい。」

 麻衣子には選択の余地はなかった。
 強張るように強めていた両脚の力を緩めるしかなかった。自然に男の中指が、下穿きの最下部に触れた。男は指の背で、ゆっくりと嬲るように薄い布の上から、その敏感な部分を何度もなんども摩ってきた。
 恥ずかしさと悔しさに、麻衣子は泪を止めることが出来なかった。しかし、悲しいことに麻衣子の思いとは裏腹に身体はどんどん反応していた。

 「ほう、凄い汚し方だな。これじゃ、助けを呼んでも人に恥ずかしくて見られる訳にはいかないなあ。」
 男は、麻衣子の下着の汚れ具合を真近に観察するように見ながらそう言った。麻衣子は耳から火を吹くのではないかと思うほど恥ずかしい思いだった。麻衣子は恥ずかしさに顔を上げることも出来ずにうな垂れていた。
 しかし、その麻衣子もカシャっという音と、それと同時に走る閃光に思わず顔を上げて驚いた。

 いつの間に持ってきたのか、男はポラロイドカメラを手に、ストロボを焚いて、麻衣子の恥ずかしい格好を正面から撮っていたのだった。工事現場撮影用のカメラらしかった。
 「や、やめて。」
 麻衣子は必死で叫んだ。しかし、その悲痛な訴えの表情もしっかり写真に収められていく。それは、麻衣子の表情ばかりか、剥き出しの汚れた下着の中心さえもしっかり捕らえていた。

 一通り、パンティ丸見えの姿を撮ってしまうと、男は今度は麻衣子の下着を剥がしにかかった。これには麻衣子も慌てた。が、何の抵抗も出来る格好ではなかった。脚は大きく広げられて固定されているので、パンティを奪い去ることは出来ない替わりに、膝まで下ろしたパンティは大きく広げられて、裏の染みも露わにしてしまっていた。そして、その薄っすら濡れた布が当てられていた麻衣子自身のその部分は、糸をひくようにべっとりと濡れているのも白日の元に晒された。
 黒々とした恥毛の下に、大きく割られてピンク色の肉襞をあからさまに見せてしまっている秘部が今度は新たな被写体になっていた。麻衣子の大きく広げられた脚の間に、次から次へ、あられもない格好の恥ずかしい写真が散らばって行った。

 一通り写真を撮り終えると、男は縛られた麻衣子の真正面に立ちはだかった。麻衣子の顔面に男の股間があった。そして、それは窮屈そうに膨らんだ男自身を息づかせていた。

 男はおもむろにズボンのチャックに手を伸ばして下ろすと、そのモノを麻衣子の眼前に取り出した。それは既に屹立していて、麻衣子の鼻先にもう届かんとしていた。

 「さあ、これを含め。イカせることが出来れば、下のほうは犯すのを止めてやってもいいんだせ。その代わり、一滴残らず全部飲みこむことが出来たらだがな。」
 男は、麻衣子の前髪を乱暴に掴むと、もう片方の手で麻衣子の鼻を捻じ込むようにつまむ。麻衣子が息が苦しくなって、口を開けたところへ、男は太い肉棒を突っ込んできた。
 両手が背中で縛られているので、なんの抵抗も出来ない。男にされるままにペニスを咥えさせられた。
 男は更に、麻衣子を縛っている縄の端の残りを、麻衣子の首に巻き付ける。
 「締められたくなかったら、一所懸命、奉仕するんだ。」

 麻衣子には選択肢はなかった。目をつぶって泪をこぼしながら、必死に嘗め、吸いつづけた。

 爆発はあっけなくやってきた。口の中じゅうに、ジュッと熱いものが溢れた。麻衣子はむせ返りそうになり、思わずペニスを吐き出す。口の端から、タラっと精液が一筋垂れた。
 「一滴残さず飲むことは出来なかったようだな。約束どおり、下のほうの口も犯してやるぜ。」

 麻衣子は恨めしそうな顔で男を見上げる。汚された顔は拭うことさえ許されていない。
 口のなかにまだ精液を溜めたまま、呑込むことも吐き出すことも出来なかった。

 「しかし、今出したばかりだからな。下の口をいい気持ちにして貰うにはちょっと溜めなくちゃな。ちょっと待ってろよ。 ・ ・ ・ 。そうだ、その間に喉を潤しておくか。」
 男はそういうと、縛られたままの麻衣子を残して台所のほうへ消えた。

 戻ってきたときには、冷蔵庫から出してきたばかりの冷えたビールの壜を両手にそれぞれ持っていた。一本を麻衣子の目の前に立って、そのままラッパ飲みする。そして、もう一本を掲げ、麻衣子を見てにやりとする。
 今まで飲んでいたほうのビール壜を机に置くと、代わりに机の上にあったガムテープを取り上げる。そして、麻衣子の正面に立ち、王冠を開けたばかりの新しいビール壜を麻衣子の顔面に突き出す。
 「口を開けろ。」
 男は壜の先を無理やり、麻衣子の口の中に突っ込む。麻衣子は何をされるのか不安ながら抵抗は出来ない。
 麻衣子の口にビール壜の先が突っ込まれると、今度はその口の廻りをガムテープで留め出した。ビール壜を口に突っ込まれたまま、猿轡をされたような格好で、ガムテープが口の廻りに貼られ終わると、男は壜の底を上に上げた。壜からビールが無理やり麻衣子の喉元に注ぎこまれる。まわりがぴっちり塞がれているために、飲み込むしかない。むせるようにしながらも、強いられるまま、ビールを飲み込まざるを得なかった。飲んでも飲んでもビールはなかなか無くならない。が一本が空になるまで、男は許してくれなかった。やっとのことで、一本を一気飲みし終わると、漸く男はガムテープを外した。

 麻衣子は急激にビールを飲まされて、頭がくらくらしていた。お腹は張るように膨らんでいる。アルコールのせいで、すこし、羞恥心が緩んでいた。男の目の前に、ミニスカートから丸見えになっているパンティも気にならなくなってきていた。だんだん、どうされてもいいという気になってきていた。

 しかし、男の意図は別にあったのだった。それはビールを飲まされ、目の前で男が麻衣子の痴態を見ながら、ちびちびビールを飲んでいるうちに気づいたのだった。

 麻衣子は次第に尿意を催していた。急激に飲まされたビールのせいである。膀胱はぱんぱんに溜まってきている。麻衣子はしだいに下半身をもじもじさせ始めていた。

 つづく(予定未)

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