SM一括り(4)
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その三 緊縛と折檻
ここから少し方向が離れるのが、ボンデージの世界、正確にはボンデージ&ディシプリン (緊縛と折檻)の世界だ。
これはSMでもなく、DSでもない、独特の世界で、ある意味では前記二つの境界領域に あるとも言える。縛られた状態あるいは折檻される状態そのものに快楽を覚えるのもので、 傷や痛みを与えることで快感を得るSMとは微妙に異なる。
ボンデージという世界は緊縛と訳してしまえば、それだけのことになるが、西洋で言うと ころのボンデージは巧く言えないが何かちょっと違うものがあるような気がする。
それを補完するのがディシプリンという言葉だ。この言葉は日本語には無い概念かもしれ ない。今回の章では便宜上、折檻という言葉を使っているがそれは飽くまで便宜上の事だ。 大元の直訳では鍛錬、訓練、修行というような意味になる。そこから変態性欲の世界の言葉 になると、日本語としては調教、責め、折檻などと言う訳語があてられる。日本語として、 調教と責めと折檻はそれぞれ異なる概念だ。しかしそれを共通の一語で表しているところに、 英語圏での概念のディシプリンの難しさがある。更に言えば、変態性欲の用語としてはボン デージ&ディシプリンという対になる形で使われている点だ。鍛錬、訓練、修行という言葉 からは苦しい状況を強いられるというのが何となく想像出来る。変態性欲解釈的に言えば、 ディシプリンは縛りではないが、縛りと似た苦しい状態を強いられ、そこに性的な快感を感 じるということになるのかもしれない。縛っていなくても苦しめられ、そのことに性的な快 感を感じられると言う状況と言えばいいのかもしれない。従って、ボンデージ&ディシプリ ン(bondage & discipline 略してB&D)では実に多彩な状況が表現される。ある意味で は、危険や危機感に隣接しているという緊張感が快楽を生み出しているのかもしれない。ボ ンデージはディシプリンの代表的な表現方法であるが、それ以外もあり得るということで、 &ディシプリンと敢えて追記されているのかもしれない。今回タイトルとしてはディシプリ ンに折檻という言葉を使っているが、便宜的なもので、折檻という言葉では言い表し切れな い世界が実はあるのである。
そして、B&Dの世界では、縛られたあるいは拘束された瞬間の状況が大事であり、ある 意味では静的な快感を重要視しており、ストーリー展開が重要なD&Sの世界とは方向が異 なっていると言える。縄で拘束された姿はS&Mや、D&Sを連想させるが、ディシプリン の世界で時々出てくる全身ラバーの拘束着ともなると、全く異なる世界と言える。拘束は隷 従の道具からもはや逸脱している。高いピンヒールやビザールファッションになると、拘束 されているとも言い難い。D&Sの他者から服従させられている、他者に隷従していると言 うのと違って、自分から苦しい状況に自分自身を追い込むものまで含んでの概念なのだろう。 それで、全身ラバースーツというようなものまでこの概念には含まれてくるのだろう。まさ に快感を得る為の修行なのかもしれない。
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