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SM一括り(3)


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その二 征服と隷従


 縛りから来る欧米の概念で、SM趣味とは異なる二つの世界がある。 DSとボンデージである。 DSはドミネーション(征服支配)&サブミッション(隷従屈服)の略 である。SMと似ているが、身体を傷つけたり痛みを与えることが目的 ではないことに、SMとの違いがある。
 縛りはその中で重要な要素となり得るが、あくまで相手を支配する、 或いは支配されることに意味があり、縛りそのものでもDSは完結する。  DSには従って、性的行為よりもストーリー設定が重要である。自由 で気位の高い品位のある女性が、薄汚れて下品な男に邪まな企みによっ て捕らえられ、自由を奪われて、監禁され、遂には男の思うがままの性 の奴隷に貶められるというようなストーリーである。
 そのストーリーを連想させるような一シーンとしての縛りがあったり、 監禁牢があったり、首輪があったりするのである。鞭打ちがあったとし ても、それは屈服させる為の手段であって、傷つけることが目的ではな い。嫌がる相手に言うことを聞かせる為のものであって、苦しめること を楽しみとしているのではない。高貴な女性と、下劣な男漢という組み 合わせが典型で、お姫様が盗賊に囚われたり、白人貴婦人がインデアン に捕まって陵辱を受けるなどがある。日本では上下の身分が厳格として 存在した戦国から江戸時代までの時代物にこの典型を観ることが出来る。 近代以降では、良家の子女と言った言葉が死語ではなかった財閥の存在 した戦前まででは成り立つが、戦後、身分の上下意識の希薄化した現代 社会を背景にしては成立しにくい。あるとすれば、警官と悪漢、教師と 生徒などのように、現代でも存在する数少ない上下関係においてだ。
 いずれも場合でも、本来上の立場にある筈のもの(通常は女性)が、 下の立場である者の支配下に逆転し、征服され隷従を強いられるという ストーリーでなければならない。

 アダルトビデオの世界にも監禁物というジャンルがあるが、DSの世 界を表現したような作品は見当たらず、何を表現しようとしたものか、 中途半端なものばかりの印象を受ける。

 DSに似た世界に、1970年代前後に欧米で発展したセクシーお色 気アクションがある。勧善懲悪の世界で、正義の使者である主人公が最 後には悪者を懲らしめるという全体ストーリの中で、話を盛り上げる為 に取り入れる要素にDSの部分を取り入れているものである。
 すなわち、本来強くて高貴な女主人公が、邪悪な敵の手に捕らえられ、 その正義を捨てるように責められ、奴隷として屈服させられかけるとい うものだ。ストーリー全体は最終的に正義が勝つというところで終わる のが鉄則なのだが、正義の使者が敵の手で責められ、堕ちかけるところが、 DSの世界を連想させて、嫌が上にも単調なストーリーを盛り上げるのだ。  凄腕の女刑事、女探偵、女スパイなどのバリエーションがある。


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