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女学生





   一

  いつものあの洋館が見えてきた。ほんの少しの上り坂が続くので、少し息が切れてくる。だから、いつもあの洋館のあたりで休んでしまうのだろうか。
 それに、今日は何だかいつもより身体がだるい。熱があるのだろうか。

 京子はその洋館の、玄関に続く石段の上がり口の所まで行ってちょっと休もうと足を進めようとした瞬間、目の前が突然真っ暗になった。というより、強烈なスポットライトを真正面から当てられたかのように、眩しい光の残像に埋め尽くされて何も見えなくなったに近かった。重心が急にぐらぐらしてきて、自分が立っているのかも倒れているのかも分からなくなった。

 信吾は、応接間の古い掛け時計を見上げて、八時半をちょうど過ぎたところであるのを確かめると、もう日課のようになっている動作で飾り戸棚の上の双眼鏡を取り上げた。
 南側のフランス窓のレースのカーテンを少しずらすと、屋敷の前の道がまっすぐに続く道の彼方に視線を向けた。
 いつもと全く変わらぬ時間に、その女学生は道の尽きる場所に現われた。どこかの角を曲がってその道に入ってきたのだろうが、あたかも異次元の世界からふと迷いこんできたかのように、いつも忽然と信吾の視界のなかに入ってくるのである。
 紺のブレザーに淡い灰色のプリーツスカート、白いブラウスに赤いタイ。制服なのだからいつも全く同じ装いで当り前なのだが、信吾はこの娘にこの服装を変えてほしくなかった。毎日、毎日、ああ、今日も同じ服装で良かったと思うのである。
 長くしなやかな髪を軽く分けたしたに、すこうし下膨れの細面の顔が見える。切れ長の瞳が遠めにもくっきり見える。いつも淋しそうな表情をうつむき加減にして、一身に歩いてくる様は今日も変わらない。
 段々近づいてくるにしたがって、双眼鏡の焦点を合わせ直しながらその娘の身体を追ってゆく。視野のなかで息づかいも聞こえるように思えるほど近づいてくると、坂道に疲れてくるのか歩調が緩んでくるのもいつもと同じだ。その時はもうフランス窓のすぐ真下に居る。
 が、その日は女学生の顔が突然曇ると、すっと視野から姿が消えた。

 信吾が玄関から出てみると、スカートの裾を乱して女学生が倒れている。
 貧血だなと信吾はすぐ気付いた。階段を駈け下り、そばに近寄るとそっと声を掛けた。
 「どうしたのですか。大丈夫ですか。」
 しかし、女学生は応えない。いや、答えようとして唇がかすかに動いたようだったが、声にはならなかった。
 倒れたとき、とっさに腕で頭を庇って怪我はしなかったようだが、今はもう頬をアスファルトに着けて薄く息をしている。その顔をほつれ髪がさらさら覆っている。倒れながら屈んだせいで、裾から膝より上の白い腿が妖しくあらわになってしまっている。

 少女の首筋にそっと手を回して抱え起こし、反対の手を少女の膝下に滑りこませる。そのまま肩を腿を持って、少女の身体ごと持ち上げる。思っていたより意外に重い。膝にいれた手が少女の素肌に直に触れている。太腿に直接手を差し込んで持ち上げたので、スカートが更にずり上がっていってしまう。が、信吾は構わずにそのまま少女を屋敷の中に運びこむことにした。

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   二

 背中で玄関の扉を開け、尻から滑り込むようにして抱いたまま家の中へ入ると、取り敢えずすぐに寝かせることのできる自分の部屋のベッドに運ぶ。二階なので階段がきつかった。が、少女は目を開けることもなく、ぐったり為すがままになっている。
 また背中で部屋の扉をあけ、少女をゆっくりベッドに降ろす。すっかりセーラー服は乱れて、覗き込めば下着まで見えてしまいそうだ。
 女学生の唇がまたかすかに動いた。
 「あ、じっとして。動かないほうがいい。多分、貧血です。目が回っているでしょう。そのままじっとしていれば、すぐに治るから。」
 少女は信吾の言うとおり、目が回っているように視野全体がチカチカして何も見えない状態のようである。息もまだかすかだ。
 信吾は楽にしてやる為に、女学生の襟元に手を伸ばし真紅のタイを緩めてやる。一瞬、少女の身体がビクンと動いたようだったが、またすぐにぐったりしてしまう。
 信吾はタイをほどき、ブラウスの一番上のボタンを遠慮もなく外す。本当はブラジャをはずしてしまったほうがいいのだと思うが、フロントホックではないらしく、ちょっと無理そうである。
 それからウエストを締めているスカートの横のホックを外し、ジッパーも降ろしてしまう。隙間から一瞬ちらっと白い下着が覗いて見える。
 少女は少し楽になったのか、ふうっと長い息をついた。
 乱れたスカートの裾はわざとそのまま直さないでおく。白いソックスを穿いただけの素肌の脚は、白い腿まであらわにしたまま内側にすこし折曲げるようにして信吾の眼下に投げ出されている。その姿は信吾が思わず生唾を飲み込むほど艶めかしい。

 信吾は意を決してそっと立ち上がると、女学生を部屋に残して階下に下りる。扉を音を立てないようにそっと閉めながら、もう一度少女のほうを盗み見る。
 さっき解いた真紅のタイの下のはちきれるような胸の膨らみが仰向けに寝ていてもはっきりと分かる。膝元をかろうじて被っている乱れたスカートの裾の暗がりの奥にかすかに覗く白い三角形の下着を信吾は脳裏に焼き付けた。

 再び部屋に戻った信吾は、手にした呑み薬を女学生を抱きかかえるようにしてうつむかせると、息絶えだえのようにぐったりしている少女の口元にそっと流しこむ。
 「ゆっくり、ゆっくり呑みなさい。これを呑めば落ち着く筈だから。. . . そう、. . . ゆっくりでいいんだから。あっと。」
 少女が呑み切れず口元からよだれのように垂らした水薬を、信吾は自分の袖で拭う。
 そしてたっぷりと薬を飲み込んだのを確かめると、少女を再び抱き降ろして寝かせる。

 それは、軽い睡眠薬と強力な利尿剤なのである。少女の息が見る間にゆっくりになっていって、意識が遠のいてゆくのが手にとるように分かる。
 すっかり寝込んだのを見取ると、信吾は次なる作業に取りかかる。持ってきた注射器に麻酔剤を注入する。足首のソックスを下にずり降ろしくるぶしの付け根に注射する。
 注射針が入った瞬間、少女は一瞬ビクッとしかけたが、薬が効いていてそれ以上は動かない。更にもう一方の足にも注射する為に、大きく股を広げさせる。灰色のフレアスカートがずり上がって白い下穿きが丸見えになる。少女の脚をMの字の形に曲げさせるようにして、もう一方のくるぶしにも麻酔剤を注射する。
 打ち終わると少女の脚を元に戻すが、はだけたスカートはわざとそのままにしておく。白いむっちりと肉づきのいい腿が、その付け根にパンティを剥き出しにしたままあらわにされて、目の前に投げ出されている。
 信吾はポラロイドカメラをセットすると、そのあらわな肢体を欲しいままに撮りあげてゆく。

 京子は一生懸命走っていた。深い森の中である。足元にまとわりつく薮で脚が思うように進まない。しかし、追っ手はすぐ後ろに迫って来ている。振り向くのが怖かった。追っ手の足音と息づかいがすぐ近くに聞こえてくる。
 道が突然、ふたまたに分かれていて、突差に京子は左のほうを選んだ。林の中を潜り抜けると、ちょっと広い野原に出た。真ん中にちいさな白い小屋が見える。とにかくそこへ向かって走った。扉があって、その扉より少し大きい位の四面の壁に囲まれた細い小屋である。どうも公衆便所らしい。その時急に尿意を催しているのに気付いた。
 (追っ手が来る前に済ましてしまわなくては。. . . )
 そう思って扉を開けると、白い男性用のあさがおの形の便器が見えた。
 (ああ、どうしよう。)
 と思った瞬間、男に肩をつかまれた。振り切ろうとするが、強い男の手がしっかりつかみかかってきて引き寄せられた。更に男の腕が後ろからしっかり挟みこんできて、京子の身体を羽交い締めにした。
 (駄目なの。離して、. . . 。早くしないと、. . . 。)
 次第に遠のいていく白い男性用便器をみながら、京子は懇願する。
 何とか後ろを振り向こうとして、はっと目覚めた。

 夢だった。そして、最初は自分が何処にいるのか分からなかった。見慣れない天井のシャンデリアから白い壁に目を移しているうちに我に返った。
 (起きなくっちゃ。)
 強い尿意はまだ催している。起き上がろうとするのだが、脚に全く力が入らない。京子は焦った。
 その時、急にばたんと横の扉が開いた。見知らぬ顎髭を生やした黒眼鏡の男が入ってきた。
 (どうしよう。. . . )
 しかし、そう思ったときが既に限界だった。京子は生暖かいものが太腿の内側に広がるのを感じた。そして、それはお尻のほうにも次第に浸みてきた。
 京子は唇を噛んで観念した。恥ずかしさに目を伏せうつむいているしかなかった。
 男が近づいて来るのが感じられた。自分の飛んでもない姿が見られてしまったのがわかってもどうすることも出来なかった。ただ、涙だけがまぶたから溢れてきた。


 「気にすることはない。いいからじっとしていなさい。」
 そう言うと、男は京子の身体に手を触れた。スカートのジッパーを下ろし、腰から抜き取る。そしてパンティにも両手を掛けてずり下ろし、ゆっくり剥ぎ取るように脚から抜き取った。そのパンティから落ちた滴が太腿にかかって、それがたっぷりと濡れていることを京子は今さらのように感じとった。
 男は濡れた下着とスカートをタオルにくるむと、もう一枚のタオルで京子の濡れた下半身を拭った。京子は為す術もなく、手で顔を被って男のするがままに任せていた。

 いつの間にかまた睡魔が襲ってきて、眠りこんでしまったらしかった。京子がふと我に返ると、まったく何も着ていない格好で眠っていたことに気付いた。ただ、股間にいつの間にか紙おむつがあてられている。それは本当に恥ずかしい格好だった。
 目覚めたのは、やはり強い尿意のせいであった。今度こそ漏らす訳にはいかないと思って立ち上がろうとするが、両脚はまだ痺れている。
 腕の力を使って這うようにしてベッドから滑り落ちた。脚に力が全く入らないので、膝で立つことすら出来ない。腕だけで一歩いっぽ前へ出る。その間にもどんどん尿意は高まってくる。
 他人の家なので、トイレが何処にあるかも分からない。が、とにかく捜さなくてはと必死だった。両手で突っ張って半身を起こしているので、部屋の扉まで辿り着いたが、ドアのノブに手が出せない。肩でドアに寄りかかるようにして、やっとのことで片手をノブに掛け、扉を開いた。
 さっきの男を呼ぼうかとも思ったが、殆ど丸裸でおしめを着けているような格好を更に再びは見られたくなかった。
 ドアを開けると細く長い廊下がまっすぐに続いている。その一番奥に斜めに走る階段の一部と階段の下の扉が見えた。位置関係からいって、その階段下の扉がトイレに違いないと京子は検討をつけた。
 這っていくと廊下の板張りが京子の裸の腹には冷たかった。京子はぶるっと身体を震わせた。我慢の限界に近い。京子は額から汗を垂らしながら、一歩いっぽ、トイレらしき扉ににじり寄っていく。
 やっとのことでその扉に辿り着き、再び肩で身体を支えながら何とか片手を自由にしてその扉のノブに手を掛けた。

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   三

 その個室はやはりトイレだった。京子は転がりこむようにして身を滑りこませた。一見清潔そうではあったが、トイレの床に素肌で転がるのは、京子としても気持ち悪かった。が、今はそんなことは気にしてはおれなかった。
 身体を丸めるようにして、紙おむつを止めている粘着テープを剥がしにかかった。慣れないものなので、思うようにゆかず手惑う。やっとのことでテープが剥がれてくれたが、脚が痺れたままでは目の前の洋式便器にうまくまたがることが出来ない。洋式便器の蓋を持ち上げ、両手で抱えるようにしたものの、腰をその上に載せることが出来ない。
 両肩に力をいれてふんばる。が、その時に限界が来た。
 始めちょろっと漏れてしまったと思ったが、一旦出だしたら止められない。慌てて、紙おむつを股間に当てて流れ出すのを防ぐ。
 まだ、完全にはおむつを外してなかったので、慌てて抑えることで、外に漏らすのは何とか食い止めた。が、おむつに正気のまま垂れながすのは初めての経験だし、情けなく、惨めだった。
 気が遠くなるくらい、放尿し終わるのに時間がかかった。身体をぶるっと震わせて出し終わったときには、紙おむつはずっしり重たくなっていた。もはやそれを着けつづけていることは出来なかった。吸い込んだ小水を絞り出さないように気をつけながら、腰から外し、丸めて横に置くと、文字どおり丸裸になった。
 ペーパーホルダから紙をまるめ取り、股間を拭いて紙だけを便器にながした。
 素っ裸のまま出るにでれず、トイレの床にまるまって思案している時に外でコトリと音がした。反射的にトイレのノブの鍵に手を伸ばそうとしたが、それより早く扉は開け放たれてしまっていた。


 男は何も言わず、京子のほうに手を伸ばし、裸の身体を抱き上げ、京子を再びかかえてベッドまで戻った。裸の京子をそっとベッドに下ろすといつの間にか持ってきていたセーラー服を京子に身に着けさせ始めた。
 それは京子がもともと着ていたものとは違っていた。白い夏服の純然たるセーラー服でブラジャもしていない裸の身体に、器用に着せた。
 下半身にはまず新しい紙おむつが当てられ、それから紺のひだの多いスカートを穿せられた。スカートは京子がもともと着ていたのに比べると極端に短かく、太腿の半分しか隠してくれないものだった。

 「これは、昔娘が使っていたものでね。女用の服はいまこれしか無いので。ちょっと我慢して着ててください。裸でいるよりはいいでしょう。」
 「あ、あの、. . . わたしの服は。」
 京子はおそるおそる聞いてみた。
 「あっ、あれは大分濡れていたので、クリーニングに出しました。さっき洗濯屋が丁度来ていたので、持っていってもらったのです。」
 京子は聞いたおかげで、余計に恥ずかしい思いをした。あのお漏らしに濡れた服を洗濯屋にまで見られたのかと思うと、たまらなかった。が、恥ずかしくてそれ以上聞けなくなってしまった。
 着せられたセーラー服はかすかにぷうんとナフタリンの香がした。
 男はさらに、京子の足に白いソックスをはかせ、必要もないのに赤いスカーフまでセーラー服の下にまかせた。しかし、下着は無いのか、着けさせてくれる様子はなかった。

 「元気になるまで、もう少し眠ったらいい。もしトイレに行きたくなったら、声を掛けなさい。連れていってあげるから。」
 男は、新しいセーラー服姿になった京子の身体を嘗めるように上から下まで見つめたあと、そっと音を立てずにドアを閉めて出て行った。
 京子は両腕で胸を隠すように抱いて、脚を縮めてみた。さっきよりは、脚が少しだけ動くようになってきた気がした。乱れていたスカートの裾を下のほうへ引っぱり、股間が覗けないように直した。が、もともとスカートがかなり短い為、見えないようになっているか不安だった。
 服を着せられて安堵した為か、また睡魔が襲ってきた。いつの間にか京子は再び眠りこけていた。

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