小夜子 1
それに、文夫の姉の小夜子の美しさー大げさではなく、月の世界
から舞い降りたのではないかと思われるぐらい、ぞっとするばかり
に気品に満ちた美女なのであった。
「さ、言われた通りにするんだよ。お嬢さん」
モタモタしている小夜子をせかせて、椅子に座らせた森田は、
「社長、そのテーブルの下に麻縄が一本あります。取って下せえ」
という。
田代は、うなずいてテーブルの下の縄を引っ張り出した。
「な、何を、なさるのですっ」
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美津子が思いを寄せる文夫とその姉、小夜子までが騙されてアジトへ連れて
来られる。何も知らない小夜子は弟、文夫を引き離されて縄に掛けられてし
まうのだ。
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