京子 2

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 京子は、今年大学を卒業して山崎探偵事務所に勤めたのであり、在学当時は、
男の学生達と一緒に空手を学んだ。女であるが、二段の腕前で、マリが愚連隊に
いじめられているのを見て助けに入った京子は、ちんぴら三人を空手でのしてし
まったのである。



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 「お京姐さん、入っといでよ」
と、呼ぶ。のっそり外から入って来たのは派手なスカートをはき、チューインガ
ムを矢鱈にかんでいる背のスラリとした女だが、いうまでもなく、山崎探偵長の
秘書、京子の変装した姿である。



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 ふと、横手を見た京子はギョッとなった。柱を背に、無残にも素っ裸のまま縛
りあげられている少女がいたからで、これは、遠山家のお嬢さんだとわかったが、
すぐに何でもない顔つきになり、
 「団長、そこに縛られているスケは一体、何なんです。掟を破った私刑ですか」
と聞く。



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 京子は、ナイフを手に持ちかえる。
 田代は、ぎょっとして、助けてくれ!と大声をあげた。刺されると思ったのだ。
 「あわてるない。お前みたいな蛆虫を殺したりなんかするもんか。警察にひき
わたす前にその気に喰わないチョビヒゲを剃り落としてやるんだよ」



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「やい、京子。どてっ腹に風穴を開けられたくねえなら、おとなしくお手々をう
しろへ回すんだ。」
 自分はとにかく静子夫人の命を救うためには、自分が一旦、彼らの言いなりに
なる他仕方がないのだと悲痛な決心をした京子は、固く目を閉ざして、両手を背
後へ回すのだった。



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 「な、なにをするのさ」
 京子は、男の一人に、ブラジャーをいきなり剥ぎ取られ、耳たぶまで真赤にし
て、ブルンと飛び出した弾力のある乳房を必死になって、両手で覆った。
 どっと哄笑がわく。



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「社長、親分、長らくお待たせ致しやした。どうぞ、気のすむまで、この二人に
うんとヤキを入れてやっておくんなさい。この京子っていう太え阿女ですが、ど
ういうお仕置きがよろしゅうござんすかね」
 川田が、ニヤニヤしながらいうと、田代が寄ってきて、いきなり、京子の髪の
毛をわしづかみにして京子の顔を正面につりあげた。



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 「ふふふ、京子姐さん、何色を選ぶんだ。返事をしなよ」
 川田に、そうからかわれた京子はキリリと柳眉をあげ、憎悪のこもった瞳を彼
に向けるのだった。
 「へっへへへ、この阿女、怒った顔をすると、ずいぶん色っぽくなるじゃねえか」
 森田が、赤ら顔をしわだらけに、くずしていう。



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 銀子と朱美は手きびしい敵意のこもった眼で、京子を睨みつづける。
 「こ、これ以上、私にどうしろというのさ」
 京子は、涙にうるんだ美しい瞳をキッと開き、二人のズベ公を見る。
 「詫びを入れろ、といってるじゃないか。商品に傷がつくと男達が困るという
んで指をつめさせたりはしないよ。実に、たやすい方法さ」
 銀子がそういうと、そのあと、朱美がつけ加えていう。
 「ふふふ、これから、お前さんをたっぷり可愛がって下さる男達にとっくり見
ていただくんだよ。お前さんが粗相をする姿をね」





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 遠山静子夫人を救い出す為に葉桜団に忍び込んだ女探偵秘書、京子。
あと一歩で救出出来るところで、静子夫人を囮に捕られ、敵の手に・・・。



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