京子 1

kyoko1


「やい、京子。どてっ腹に風穴を開けられたくねえなら、おとなしく
お手々をうしろへ回すんだ。」
 自分はとにかく静子夫人の命を救うためには、自分が一旦、彼らの
言いなりになる他仕方がないのだと悲痛な決心をした京子は、固く目
を閉ざして、両手を背後へ回すのだった。



uchida2


「やい、京子。まだ、暴れる気なのか。」と川田は、苛々したように、
静子夫人の尻のあたりをナイフの先で突きまくった。けたたましい夫人
の悲鳴を聞くと、京子ははっとしたように顔をあげる。
 「おとなしく両手をうしろへ回すんだ。」
 川田にせかされ、京子はもうどうしようもなくなったようにがっくり
首を垂れ、静かに乳房を覆っていた両手を解いて、背中へ廻すのだった。
京子が背後へ廻した両手首をがっしり交差させひしひしと縄を掛けてゆ
く。


uchida3



戻る

FOOTER

 遠山静子夫人を救い出す為に葉桜団に忍び込んだ女探偵秘書、京子。
あと一歩で救出出来るところで、静子夫人を囮に捕られ、敵の手に・・・。



   トップ頁へ戻る