nighttemple

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山寺お遣い


 圭子は学校の裏門を抜けると、龍巌寺の山門につながる石壇の道をひとりでとぼとぼ昇っていく。あたりからはひっきりなしに虫の音が聞こえるが、圭子が近づくと急に鳴き止み、少し離れた処でまた鳴き始める。
 石壇は結構急だし、かなりの段数があるので、昇りつめると息が切れるようだ。夜に入って凪いでいた風が少し出てきて、圭子の火照った頬に心地よく通り抜けていく。
 薄手のTシャツの下も薄っすら汗ばんでいる。下にはデニムの超ミニを穿いてきた。
 男ばかりの僧坊を訪れるにはちょっとどうかという出で立ちであるが、他に着るものが無いので仕方なかった。
 その超短いミニスカートの下の、この三日間穿き続けなければならない一枚のパンティさえ蒸れるように感じられる頃、やっと寺の山門が見えてきた。
 山門の両脇の石灯篭にはろうそくが灯されている。その明りで、山門から本堂までの境内を突っ切っていく石畳の道が闇のなかに浮き上がって見える。

 「夏期学校」より





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