妄想アイコラ
咲 裾奥 隠し撮り
暗くて細い渡り廊下のようなところをいくつも通り過ぎた挙句、咲が案内されたのは、八畳ほどの和室であった。
「あ、あの・・・。」
「住職はただいま夜のお勤めを果たされている最中です。終るまで暫くここでお待ちくださるようにとのことです。」
そう言うと、男は踵を返して咲をひとり残して襖の奥へ消えてしまった。
ひとり残された咲は部屋を見回してみた。調度の類は何もない。奥の床の間には凡語らしい読めない文字のお経のようなものが書かれた掛け軸が掛かっていて、さらにその上には般若の凄い形相の面が掛かっている。その目に射すくめられるような気がして、咲は思わず視線をそらした。
純然たる日本建築の日本間で、廊下側は障子で仕切られ、他の三面は山水画の襖で仕切られている。部屋の中央に太い梁が通っており、透かし彫りの欄間になっている。
立っていても仕方ないので咲は座って待つことにする。とは言っても座布団ひとつ用意されなかったので、正座で待つのは辛いと思い膝を崩して横座りになる。ミニのワンピースは横になれば裾がずり上がってしまうが、誰も居ないので気にしないことにした。
しかしその様子をじっと見ているものがあった。般若の面の睨むような眼は実は穿たれた覗き窓だったのだ。
「見えたぞ。丸見えだ。見られていないと思って油断してやがる。」
押し殺した声だったが堪らずつい口に出てしまったのは、さきほど咲を案内してきた若い修行僧だった。
「おい、代わって俺にも見せろや。や、ほんとうだ。太腿の真ん中にばっちり覗いていやがる。おい、カメラだ。カメラを用意しろっ。今のうちに丸見えのパンティをしっかり撮っておくんだ。」
般若の面の覗き穴から下着が見えてしまっている姿を撮られているとは思いもしない咲はなかなかやって来ない住職に痺れを切らして更に大きく脚を広げてしまうのだった。
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