妄想アイコラ
咲 個人指導
「こ、こんな風に私を壁に手錠で繋いだりして、これが水泳指導なのですか?」
「ふふふ。私がいつ水泳の指導だなんて言ったかね。君の個人指導をすると言ったんだよ。」
「こ、個人…指導?」
「そうだよ。君の肉体的感受性を更に高めてあげようというのだよ。」
「肉体的・・・感受性?」
「つまり、平たくいうと、性的な刺激に敏感になるということだよ。」
「わ、私に何をしようというのです?」
咲はコーチに呼ばれてコーチの控え室にやってきたのは、水泳の個人的な指導を受ける為だとばかり思っていた。
(どうして、直接プールではなくて、コーチの控え室・・・?)
それを不思議には思った咲だったが、コーチには何か考えがあるのだろうと思って従ったのだった。
「最初は平衡感覚を鍛える訓練をする。まずはこれを装着するのだ。」
咲がコーチに連れられてコーチ控え室に入るなり、そう言ってコーチが咲に手渡したのは、飛行機で配られるようなアイマスクだった。
「最初は難しいからバランスを崩すといけないので、壁の手摺りに掴まっていなさい。」
目隠しをして片足立ちになり平衡感覚を養うというのは聞いたことがあった。そういう訓練なのだと思って咲はアイマスクで自分の眼を蔽うと手探りで後ろの壁の手摺りを探ったのだった。
「こう・・・ですか?」
咲が不安な面持ちでコーチにそう訊くと、意外なほどすぐ近くからコーチの返事が聞こえた。
「ああ、そうだ。そのままじっと立っているんだ。」
次の瞬間、何やら金属が擦り合うような音がしたと思ったら、手首に冷たいものを感じる。
「えっ?」
咲が何なのかを確かめようと手首を動かそうとするが何かに引っ張られているようで自由が利かない。そう思った時には、もう片方の手にも冷たいものが巻かれていたのだ。
「さ、もういいだろう。」
コーチの声が耳元で囁くように聞こえ、ぱっと周りが明るく見えるようになって、コーチがアイマスクを外してくれたのだと判った。しかしその時には先は両手を手錠で壁に繋がれていることにも気づいたのだった。
「え、どうして・・・。こ、コーチ。これは何ですか?」
「見れば分かるだろう、手錠だよ。」
「どうして私が手錠なんかを掛けられなければならないのですか?」
「ふふふ。君はまだ知らんかもしれんが、女というものはね。自由を奪われて愛撫されると余計に感じるものなのだよ。すぐに君もそれを実感する筈だ。」
「えっ、私の自由を奪って身体を触るつもりですか? 声を出しますよ。」
「ああ、君は知らなかったかもしれんが、この部屋はもともとはピアノのレッスン室だったのだよ。今は音楽系のレッスンは止めてしまったので私がコーチの控え室として借りたんだよ。だから防音は万全なんだ。少々大きな音を立てたって、外には洩れないのだよ。ただ、君があまり喚きたてるようなら、君の口のなかに詰め物をさせて貰うよ。例えば僕が穿いていたブリーフとかね。」
「い、嫌です。そんなものを口に突っ込まれるなんて。」
「だったらおとなしく静かにすることだ。」
「だ、騙したのね。私に個人指導をするなんていって・・・。」
「だから、言ったろ。個人指導はするんだよ。君がもっと性的に大人に開花するようにね。」
「い、嫌よ。」
咲は慌てて手をばたつかせようとするが、手首に手錠が喰い込むばかりで何も抵抗出来ない自分の立場を知らされるだけなのだった。
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