女教師・露出授業 館淳一
読後感想
この作品を久々に読了した。おそらく三度目か四度目の事だと思う。初見の時も読み返しの時も、この手の作品を読むときは、性的興奮を覚える箇所以外は飛ばして読むことが多いのだが、今回は殆どを飛ばさずに読んだので、客観的な評価が出来るだろうと思っている。
全般的には好きな作品と言える。作風も好みのタイプではある。しかし、全面的に気に入っている訳ではない。ストーリーの中に無理な物、無駄な物も多々あるように感じるからだ。
幾つかのプロットは気にいっていて、性的興奮も強い。一番はこの作品で最もよく記憶している、主人公が夜の公園の公衆便所に呼び出され、目隠しをして後ろ手に手錠を掛けさせられるシーンだ。自分から性の餌食になる事を強要されるというものだ。これは自分の作品でも何度か使っているが、この作品にヒントを得たものか、元から自分で思いついたものかは最早判らない。
もう一つは、二階のアパートから窓を開け放って、夜の闇に向かってオナニーをさせられるシーンだ。このプロットも自分の作品でも何度か使っている。牝豚狩りで、栗原瞳が帰国後向いの高層ホテルに向かってカーテンを開いてオナニーをさせられるシーンとか、淫乱インストラクターの中で、主人公が深夜残業の後、事務所のブラインドを開け放って机の上に脚を上げてオナニーをさせられるシーンなどだ。
あまりそそられない凌辱シーンもある。最初の工事現場でのレイプシーンは嗜虐性などはいい線はいっているのだが、何か今一つ物足りない。回想シーンとして二つに分けてしまっているせいかもしれない。鹿沼直希と清瀬老人との間で繰り広げられるピンクサロンでのエピソードや裏ビデオなどの描写も、余計な物として突っ込み過ぎているきらいがある。ただ、最後のほうで明かされる惨殺される夫婦達が行っていたスワッピングの描写はスピード感があって見逃せない。
思うに、性的興奮を意図していない部分での文章に惹きつけるものが足りないのだろう。それが延々と続くと段々白けていってしまうような気がする。煽情的な描写部分以外の造りは、緻密で整合性も高く、それほど非現実的でもないと評価出来るだけに惜しい気がするのだ。
主人公が自ら囮になって真犯人をおびき寄せ、逆に真犯人の手に堕ちてしまうシーンはいいプロットだけに、簡単に決着がついてしまってこれも残念だ。もう少し主人公と真犯人の心理的な絡みを盛り込んでも良かったのではないかと思う。
逆に最後の大団円の部分で、主人公のレズビアン的性格の披露や、鹿沼親娘との3Pの性戯の部分は余計で、折角高まった興奮を醒めさせてしまうように思われる。優れた部分と残念な部分が相俟った微妙な作品と言えるかもしれない。