penis突立1

エッセイ


ちょっと尾籠なペニスの話


 その昔、男達同士の間でひそかに談義されていた話題がある。思春期の頃だったような気もするし、会社に入社した直後ぐらいだったかもしれない。男同士で夜な夜な会話するシチュエーションとしたら修学旅行先の宿泊旅館の部屋でとか、社員旅行での夜の男子部屋での会話などではないかと思われるが、何時のどういうシチュエーションだったのかは思い出せない。
 ペニスをより大きく勃起させるにはとか、勃起時のベニスをより硬くするにはとか、ペニスの勃起持続時間を長くするにはとか言った内容で、お互いにこんなのを知ってるとかを披露しあうというものだった。より大きくとか、より硬くとかは考えにくいのでおそらく持続時間の延長を諮るにはというものなのだろう。
 憶えているものは三通りある。
 一番目はペニスと陰嚢を冷たい水と温かいお湯に交互に浸すというものだ。特に冬場の風呂は、冷たい水と温かいお湯が簡単に用意出来るので絶好の機会となる。あらかじめ勃起させておいた状態で、交互に浸して刺激すると効果的とのことだった。
 二番目はこれもあらかじめ勃起させておいた状態のペニスを物差しなどで上から軽く叩いて刺激するというもの。上から下に向かって定規で叩き落とすようにして、それに勃起力で反発させるといいというものだ。上に向かって立つ力を鍛えるという話だった。
 三番目は放尿時の訓練で、ただだらだら放尿するのではなく、途中で括約筋をぎゅっと締めて何度も止めるというものだった。
 若い頃は半信半疑ではあったが、一人で風呂に入る時や、トイレに小用で入って他に誰も居ない時などは殆ど毎回試していたのを思い出す。それで効果があったのかどうかは何とも言えないのだが。

 ちょっと違う論点になるのだが、同じ頃、男同士の間で交わされていた話題に一週間に何度出来るかというのがあった。射精の事だが、この頃はセックス相手がそう不自由なく居るという訳ではないので、実際の性交ではなくオナニーでの射精を指す。会話している男の中には妻帯者も若干は居たので、その場合には夫婦間の性交を意味していた。
 そんな会話の中で一週間に四回が限界というのがあって、まあそんなものだろうというのが大体に見解だったように思う。その頃自分としては毎日、週七回でもそんなに苦労はないと思っていたのでちょっと意外に少ないのだと思った記憶がある。
 一方、何回連続で出来るかという議論もあって、「ぬか三」とか「ぬか六」という言葉もあった。この場合は実際の女性との性行為であって、結合したままペニスを抜く事なく何回まで射精に至れるかを差していた。そんな話をしている頃は自由にセックスする相手も居なかったので、自分自身としては試してみたことはなかったが、「ぬか三」というのはかなりハードで、「ぬか六」などあり得ず、話を大袈裟に作っているだけだと思っていた。
 オナニーでの射精としての連続は試してみたことがあって、所謂「ぬか」ではないが連続三回までは可能だというのは確認済みだった。しかし、実際の性交でペニスを抜かないまま一旦萎えたものを再び勃起させて再度射精にまで至るというのが可能なのかどうかは半信半疑のままだ。まあ出来たとして「ぬか三」が限界で、「ぬか六」というのは作り話としか思えない。
 似たような話ではあるが、ロシアには公衆の面前でペニスに一度もタッチすることなく、頭の中の想像だけで勃起させ、そのまま射精に至ることが出来るという見世物のような事をする男が存在するというのを聞いたことがある。訓練すれば何時かは出来るようになるかもしれないが、かなりの至難な業であるとは思った。簡単には出来ないからこそ見世物としても成立するのだろう。

 ペニス鍛練法の話を男同士でしていたのは所謂、思春期とか青春期と言ってもいい頃の話だ。そこから歳を降ること数十年で中年、或いは壮年と呼ばれる頃になると違う悩みが起こる。ペニスの臭いが気になるというものだ。正確にはペニスそのものが臭うというよりもペニスを包んでいる下着の臭いが気になると言ったほうがいいかもしれない。勿論その臭いの原因はペニスによるものだから、限りなくペニスの臭いに近いとは言えるのだが。
 四六時中臭っている訳ではないが、あるタイミングでふと臭っていることに気づくと気になって仕方がない。特に会社などで若い女性などに近づく機会があったりすると、臭いに気づかれるのではないかとずっと心配な状況が続くのだ。
 臭う時と臭わない時があるのが不思議で、どうしてだろうとずっと考えていた。尿の臭いが原因であることはすぐ分かるのだが、どうすると臭い尿になって、どうするとならないのかはずっと不思議だった。色々考えてみて、尿を溜める膀胱での老廃物の滞留期間に原因があるのではないかと思いついた。しかし排尿するタイミングが期間が長い場合と短い場合がある訳でもない。昼間の排尿までの時間はほぼ一定だし、時間が長くなる寝起きの最初が特に臭い訳でもない。

 長い間、いや、あまり長くはなかったかもしれない。暫く不思議に思っていたが、ある機会があって問題の本質に気づくことになる。そのきっかけになったのが尿漏れ、所謂よく言うチョイ漏れだった。これも若い時には滅多になかったのがある歳を境にかなりの頻度で起こるようになる。
 チョイ漏れも何時でも起きる訳ではないので、何故起きたり起きなかったりするのかを同じ様にずっと考えていた。しかしこの問題の答えは意外と早く判明する。つまり、細身のジーンズなど、ちょっときついボトムスを穿いていると起きやすいのだ。つまりペニスの周りが締め付けられる状態だと、その緊張感の為に尿道管も締め付けられて、残尿がペニス内に残ることになるのだが、ズボンのチャックを上げていざ歩き出そうとしたりする際に、突然ズボンに締め付けられた緊張が解けて、(あ、しまった)ということになるのだ。
 この失敗から放尿を終える際に出来るだけ残尿が残らないように気を付けるようになる。一つにはズボンを腰の下まで降ろしてパンツなどの下着には圧が掛からない状態にして放尿を終えるというものがある。この方法を取り入れている人を時々見掛けるが、あまり見栄えのよいものではない。
 色々試してみた中で最も効果的で簡便なのが、放尿する際にだらだらと継続的に洩らすようにするのではなく、少しずつ一気に勢いよく放尿することだった。こうすることで、膀胱から最後の一滴まで出しきるように出来るのだ。
 この方法にはチョイ漏れ以外の利点があることが、これを続けていて分ったのだ。これをすることで臭い尿になるということがほぼ無くなったのだ。その理由は想像でしかないのだが、一気に勢いよく尿を出すことでだらだら放尿していると膀胱の底に溜まりがちな濃い、しかも古い尿成分が勢いに乗って排出され易くなる為ではないかと思われる。
 この事が判ってからは、残尿・チョイ漏れを避ける為というより、臭い尿を避ける為にこの方法を多用するようになった。
 この方法を上手にやるにはというのも色々考えて編み出した。放尿する前に下腹に力を篭めて一瞬溜めてから一気に出すのだが、ペニスを前にした便器の中央に特定の女性の顔を思い浮かべるのだ。そしてその顔に向けて小便を勢いよくぶつけるのを想像しながら出すのだ。勢いが弱くなったら一旦止め、また少し溜めてから力を篭めるというやり方だ。
 この特定の女性というのは微妙なところだ。勿論最愛の女(ひと)を思い浮かべたりはしない。最愛の女ではなくても、相手を冒涜するようなことになる場合は控える。かと言って性的な魅力が感じられない場合には勢いが増さないので効果があまりない。ひとくちで言えば所謂「そそられる女」とでも言ったらいいだろうか。しかしあまりにそそられ過ぎても、ペニスが勃起状態になってしまうようだと放尿自体がしにくくなるのでほどほどという事になる。
 この方法の欠点は自宅のトイレのような、男性女性兼用トイレの場合だ。立ってこの方法で放尿するとなると、便器の外に飛ばしてしまうリスクがとても高くなるからだ。従って会社や外出先のような男性用小便器が完備しているトイレを選ばねばならない。

 男性女性兼用トイレの話が出たついでに、この手のトイレで座って小用を足すことの是非について触れてみたい。
 以前にどんな番組だったか忘れたが、福山雅治とリリー・フランキーが対談するというものを観た。その対談の話の中に、小用を足すのに便器に座るか立ってするかという話題が出た。勿論、この場合使う便器は家庭用の男性女性兼用トイレでという事だ。驚いたことに福山雅治は以前から座ってするとのことで、リリー・フランキーが驚いていた。リリー・フランキーは「男たるもの・・・」という論調で、仮にも坂本龍馬が(つまり福山雅治が大河ドラマで演じた)男の中の男の象徴であるような男が、座ってしちゃいかんという主張で、その意見には私も賛同していた。なので私は家庭でも、つまり男性女性兼用トイレでは小用は立ってしていた。ちなみに福山雅治が座ってする理由は、一人暮らしが長かったので、トイレ掃除の大変さをよく知っていたからだそうだ。私もトイレの掃除は(つまり家のトイレだが)しない訳ではないし、子供が独立して家を出てからは二つある家のトイレの片方が私専用、もう片方が妻専用となってからは、基本的に私専用のトイレは私が掃除をするようになっている。
 それでも長い間、私は私専用のトイレで私が掃除をするのでも、小用は立ってしていた。それがある時から座ってするように変わった。理由は掃除が大変だからではなく、別の理由だった。
 トイレの掃除の大変さに関しては、以前から妻から立ってすると小便が飛び散ると、散々文句を言われていた時期があって、その頃から小用で便器を使うと、その後必ずトイレットペーパーで便器を拭うようにし、万が一便器の外に洩れた時は床もトイレットペーパーで拭うようにしていた。なので、自分専用のトイレになった時もすぐは座ってするやり方にはしていなかった。
 それが変わった理由は、前述のチョイ漏れ問題だった。先にも述べたようにチョイ漏れ対策として便器に対して勢いよく間歇的に飛ばす様にして最後の最後まで絞り出していた。しかし、これは家の外でよくある男性専用の小用便器でしか出来ない。いろいろな事情で外のトイレを使う頻度が減り、自宅のトイレを使う頻度がどんどん高まってしまった結果、私自身が編み出したチョイ漏れ対策の小用の仕方が使えなくなってしまった。そこで外のトイレでも時折見かけることのあったズボンと下着を腰より下げて股間に圧が掛からない方法を採るしかなくなったのだが、自宅のトイレであれば、傍の誰かに見られることもないので、いっそのことズボンと下着を膝まで下して座ってしたほうが合理的だということになったのである。
 チョイ漏れに対する対策効果としては、座ってする方法は私が編み出したビュッ飛ばし方とでもいうやり方に比べて万全ではないように感じている。座れば大丈夫ということではなく、意識的に最後まで出しきれるように下腹に力を篭めて出しきらなければならない。それでも細身のズボンでズボンを下げないで立ってするよりはかなり安全とは言える。
 この手記では前半はペニスをセックスをする為のものとして、後半は排泄のうちの小用をする為のものとして議論を進めてきた。自作の妄想小説の中では何度かこの二つの機能は両立しない、つまり勃起中は放尿が出来ないということになっている。しかしこの件については本当にそうかどうかはちょっと自信がない。もう少し実験をした上で議論の遡上に載せたいと思っている。

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